志ん朝師匠がニコッと「ばあさん、のぶおが帰ってきたよ」

公開日: 更新日:

 三遊亭好楽こと家入信夫は東京都豊島区出身で、子供の頃に母親が聞くラジオの演芸番組で落語の面白さを知った。

「先代金馬と柳亭痴楽が好きでしたね。若手では先代三平に歌奴(後の円歌)が面白くて」

 京華商業高校に入ると、自宅に近い池袋演芸場に通うようになる。

「開演前から一番前に座って最後まで聴いてる。志ん朝師匠が、『またあの子が来てるよ』と言ってたことを、落語家になってご当人から伺いました。学生時代にラジオで先代林家正蔵の『鰍沢』を聴いて噺に引き込まれましてね。こういう師匠がいるんだ、落語家になるならこの師匠の弟子になりたいと門をたたいたわけです」

 1966年、信夫は19歳。正蔵は当時70歳であった。

「年だからもう弟子は取らないと断られました。でもあきらめず、稲荷町のご自宅に日参して、3度目に初めて名前を聞かれたんです。家入信夫と名乗ると、師匠がニコッとほほ笑み、おかみさんに向かって、『ばあさん、のぶおが帰ってきたよ』とおっしゃった。のぶおというのは、戦後間もなく17歳で肺結核で亡くなった師匠の息子さんの名前だったんです」

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ロッテ佐々木朗希は母親と一緒に「米国に行かせろ」の一点張り…繰り広げられる泥沼交渉劇

  2. 2

    米挑戦表明の日本ハム上沢直之がやらかした「痛恨過ぎる悪手」…メジャースカウトが指摘

  3. 3

    陰で糸引く「黒幕」に佐々木朗希が壊される…育成段階でのメジャー挑戦が招く破滅的結末

  4. 4

    9000人をリストラする日産自動車を“買収”するのは三菱商事か、ホンダなのか?

  5. 5

    巨人「FA3人取り」の痛すぎる人的代償…小林誠司はプロテクト漏れ濃厚、秋広優人は当落線上か

  1. 6

    斎藤元彦氏がまさかの“出戻り”知事復帰…兵庫県職員は「さらなるモンスター化」に戦々恐々

  2. 7

    「結婚願望」語りは予防線?それとも…Snow Man目黒蓮ファンがざわつく「犬」と「1年後」

  3. 8

    石破首相「集合写真」欠席に続き会議でも非礼…スマホいじり、座ったまま他国首脳と挨拶…《相手もカチンとくるで》とSNS

  4. 9

    W杯本番で「背番号10」を着ける森保J戦士は誰?久保建英、堂安律、南野拓実らで競争激化必至

  5. 10

    家族も困惑…阪神ドラ1大山悠輔を襲った“金本血縁”騒動