「曽我兄弟 富士の夜襲」に見る仇討ちと特攻隊の相似形
1956年 佐々木康監督
日本の3大仇討ちは「赤穂浪士の討ち入り」と「荒木又右衛門の鍵屋の辻の決闘」、それに曽我兄弟だ。本作は東千代之介、中村錦之助らのオールスター共演。今月27日~4月2日にラピュタ阿佐ケ谷で上映される。
源頼朝(片岡千恵蔵)の鎌倉時代、河津祐泰が工藤祐経(すけつね=月形龍之介)によって暗殺される。遺児の一万と箱王は母が再嫁した曽我祐信の元に身を寄せるが、祐経は報復を警戒。頼朝の寵臣(ちょうしん)の立場を利用して兄弟の処刑を画策する。だが同情した畠山重忠(大友柳太朗)が頼朝を説得したおかげで2人は命を救われ、箱王は箱根権現に預けられる。
12年後、祐経は頼朝の狩場奉行を務めた折に箱根権現を参拝。引見を求められた箱王(錦之助)は脱出し、祐経の追撃をかわして兄の十郎(千代之介)を訪ねる。箱王は元服して五郎と改名、兄と共に祐経の陣屋に侵入するのだった……。
苦節18年。幼子が長じて父の仇を討つ日本人好みの物語だ。祐経は情け容赦のない悪人ぶりを発揮。五郎は化粧坂少将(三笠博子)に危機を救われる。当時23歳の錦之助はドキリとする美しさ。頼朝の嫡男・頼家役は弱冠13歳の北大路欣也だ。