落語は記憶だけじゃない 稽古と本番を繰り返し自分の噺に
車に乗ってナビを設定しようとして「目的地を登録してください」と言われてナビに向かって「も……く……」で「て」を探しながら目的地に「目的地」と登録しようとした自分にがっかりしている46歳三遊亭鬼丸です。その日はゴルフに行く予定だったんですが、車で30分ほど走り出してから気が付きました。ゴルフクラブを車に積んでないことに。そそっかしいというか、忘れっぽいというか何かの病気じゃないかと疑ってます。
さてそんな私も落語家として短くても15分、長ければ1時間ぐらいの噺を暗記してしゃべってますが、お客さんから見るとスゴい記憶力があるように思われるんですよね。「噺家さんって頭いいんですね」なんて言われると嫌な気はしませんが、歌手なんて歌詞と音程を全部覚えてますし、役者さんは台詞と動きを覚えてるんですよね。あと歌詞って間違えるとすぐにバレますし、台詞も間違えるとNGになったり舞台でも相手があることなんで迷惑かけたり。それと比べると落語ってよっぽど間違えたりつっかえなければお客にはバレません。どうやって覚えるか、どうして忘れないのかは柳家花緑師匠著「落語家はなぜ噺を忘れないのか」(角川SSC新書)をご覧ください。