鬼丸は180年前に…一筋縄ではいかない落語家の名前と襲名
46歳2児の父親、埼玉に住んでる落語家の三遊亭鬼丸です。現在、兄弟子の元歌之介、4代目円歌は襲名披露興行真っただ中ですので、今日は落語家の名前と襲名についてお話しします。
まず名前なんですが、基本は師匠の1文字を付けるのが通常です。例えば談志師匠の弟子が志の輔、談春、志らくみたいな。うちの円歌一門も基本は「歌」が付きます。この場合の歌の1文字しばりなのは、円楽、円菊、円蔵みたいに円(圓)を使う名前が多いからです。じゃあなぜ私が歌の付かない「鬼丸」という名前かというと、簡単に言って弟子の人数が多くて私の時には名前が残ってなかったからです。さらに円歌の「歌」一門とは別にもうひとつの「歌」一門、歌丸師匠の一門がありまして、歌の字を持つ名前はほぼ定員オーバーの状態に。
そんな落語家の名前が足りないのと人数が飽和状態の救いの一手が「襲名」です。今回のうちの兄弟子のように名跡(有名な名前)を豪勢なパーティーや興行で行う襲名と、昔あったけど誰も継いでいなかった空いてる名前を真打ち昇進と同時にしてしまう襲名があります。私の名前「鬼丸」は、およそ180年前に使われていたそうですが、誰も継いでいなかったのと遺族らしい方もいらっしゃらないので、真打ち昇進と同時にすんなり使わせてもらってます。遺族が、というのは名前ってその芸人が死ぬと遺族が保有してることが多いんです。他に弟子や協会、寄席の席亭が持ってる場合もありますが。