イキウメ「獣の柱」が誘う日常と隣り合わせの不思議な異界
SF、オカルト、ホラーの手法を駆使し日常と隣り合わせの異界に潜む不思議感を独自の視点で描く前川知大(作・演出)の作品。2013年に上演されたバージョンの改訂版。
舞台は2001年の日本。ある日、天文マニアの市役所職員・二階堂望(浜田信也)は山の中で小さな隕石を拾う。その隕石は、見る者に幸福感をもたらす。そして、魅入られたまま時が止まり、やがてゆっくりと衰弱死していく。望は天文部の先輩で農業を営む山田(安井順平)と共に隕石の謎を探ろうとするが、後輩の藤枝(大窪人衛)は隕石を握ったまま小屋で死亡する。
やがて、ビルのような巨大な「柱」が世界中に降り注ぎ、隕石と同じく人々を魅了し支配する。「柱」が狙うのは人口密集地帯。人々は安全な過疎地に移動していく。
そして50年後、世界中に降り立った「柱」に人類は疲弊し、「柱」は信仰の対象となっていく。その支配を逃れ、少人数の集落をつくって生活する人々が現れる。その中から、「柱」の威光に動じない「新人類」と呼ばれる子供たちが生まれ、世界中に散らばっていくのだが……。