著者のコラム一覧
小田桐誠立教大学・武蔵大学非常勤講師

1953年青森県生まれ。出版社勤務を経て79年から著述業に専念。著書に「ドキュメント生協」「消えたお妃候補たち」「PTA改造講座」「テレビのからくり」「NHKはなぜ金持ちなのか?」など。07年9月から15年3月までBPO「放送と青少年に関する委員会」委員を務める。

大下容子はテーマやコメンテーターとの適度な距離感がいい

公開日: 更新日:

診断結果は…【良】

 川崎市の児童と保護者らの殺傷事件に続き、元農水省次官による長男殺害事件が発生し、引きこもりと事件の関連性が報じられている。とくにテレビは専門家を招くなど連日取り上げ、「自分の命を絶てばいいじゃないですか」と強調したMCも現れた。テレビの影響力や公共性を考えない軽はずみな発言である。

 その中で2つの事件について専門家やコメンテーターの力を借りながら多角的かつ深掘りしようと努めているのがテレビ朝日系「大下容子ワイド!スクランブル」だ。先月31日は中高年の引きこもりの支援に当たってきた専門家が「40歳くらいになると、もう仕事に就けない」と思う一方で、「自宅に安住できる気持ちも出てくる」と解説したのに対し、大下は「落ち込んだ時に引きこもることもあるのだろうか」と非常に基本的な疑問を投げかけた。

 続いて「アメリカにも引きこもりの人はいるが、日本独特のもの」(デーブ・スペクター)、「一つ一つのケースを丁寧に見た上でこの言葉を使っていくべき」(柳沢秀夫)などの声が相次いだ。

 4日は貧困者などを支援するNPO「ほっとプラス」代表理事の藤田孝典らがゲスト出演。大下はここでも「引きこもりという言葉の使い方を藤田さんはどうご覧になっていますか」と基本的な質問を繰り返した。「『あなたは引きこもりです』と川崎市は書いているわけです。これは正しかったのか」と返した藤田に大下は「もう一度検証すべきとのお話でした」と受け止めた。大下の丁寧に議論と検証を進める姿勢が垣間見えた瞬間だ。

 20年以上、男性MCのサポートをしてきて4月から番組に自らの冠が付いた。テーマやコメンテーターとの適度な距離感は蓄積から生まれたものだろう。

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • 芸能のアクセスランキング

  1. 1

    キムタクと9年近く交際も破局…通称“かおりん”を直撃すると

  2. 2

    中居正広の騒動拡大で木村拓哉ファンから聞こえるホンネ…「キムタクと他の4人、大きな差が付いたねぇ」などの声相次ぐ

  3. 3

    木村拓哉は《SMAPで一番まとも》中居正広の大炎上と年末年始特番での好印象で評価逆転

  4. 4

    中居謝罪も“アテンド疑惑”フジテレビに苦情殺到…「会見すべき」視聴者の声に同社の回答は?

  5. 5

    中居正広9000万円女性トラブル“上納疑惑”否定できず…視聴者を置き去りにするフジテレビの大罪

  1. 6

    中居正広はテレビ界でも浮いていた?「松本人志×霜月るな」のような“応援団”不在の深刻度

  2. 7

    フジテレビは中居正広で“緊急事態”に…清野菜名“月9”初主演作はNHKのノンフィクション番組が「渡りに船」になりそう

  3. 8

    中居正広の女性トラブルで元女優・若林志穂さん怒り再燃!大物ミュージシャン「N」に向けられる《私は一歩も引きません》宣言

  4. 9

    若林志穂vs長渕剛の対立で最も目についたのは「意味不明」「わからない」という感想だった

  5. 10

    中居正広「女性トラブル」に爆笑問題・太田光が“火に油”…フジは幹部のアテンド否定も被害女性は怒り心頭

もっと見る

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    相撲協会の逆鱗に触れた白鵬のメディア工作…イジメ黙認と隠蔽、変わらぬ傲慢ぶりの波紋と今後

  2. 2

    中居正広はテレビ界でも浮いていた?「松本人志×霜月るな」のような“応援団”不在の深刻度

  3. 3

    キムタクと9年近く交際も破局…通称“かおりん”を直撃すると

  4. 4

    《2025年に日本を出ます》…團十郎&占い師「突然ですが占ってもいいですか?」で"意味深トーク"の後味の悪さ

  5. 5

    ヤンキース、カブス、パドレスが佐々木朗希の「勝気な生意気根性」に付け入る…代理人はド軍との密約否定

  1. 6

    中居正広の女性トラブルで元女優・若林志穂さん怒り再燃!大物ミュージシャン「N」に向けられる《私は一歩も引きません》宣言

  2. 7

    結局《何をやってもキムタク》が功を奏した? 中居正広の騒動で最後に笑いそうな木村拓哉と工藤静香

  3. 8

    ロッテ佐々木朗希は母親と一緒に「米国に行かせろ」の一点張り…繰り広げられる泥沼交渉劇

  4. 9

    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

  5. 10

    高校サッカーV前橋育英からJ入りゼロのなぜ? 英プレミアの三笘薫が優良モデルケース