劇団昴「Other People's Money 他人の金」格闘技のような激しい演技の応酬
1991年に映画化(日本未公開)されたジュリー・スターナーの戯曲をこのところ活躍めざましい小笠原響が演出。舞台という四角いジャングルの中で役者たちが激しい演技の応酬をする格闘技のような舞台となった。
ニューイングランドの電線メーカー「ワイヤー・アンド・ケーブル」。会長のジョーゲンソン(金子由之)は38年前に父の会社を引き継ぎ、紆余曲折はあったものの、地道に会社経営を行ってきた。しかし、もはや電線、鉄鋼という重厚産業は時代遅れ。主要部門は赤字で副業の配電機器部門などでカバーしていた。そこに目をつけたのが投資家のガーフィンクル(遠藤純一)。M&A(合併・買収)のエキスパートであり、業績の悪い会社を乗っ取って、株価を吊り上げて売る「ハゲタカ」だ。
会社を守ろうとするジョーゲンソンは社長のコール(石田博英)、秘書のビー・サリバン(一柳みる)に相談。ビーはアメリカ有数の法律事務所で敏腕弁護士として活躍する娘のケート(米倉紀之子)に依頼。渋々だったケートは相手がフェミニズム嫌いとわかって腕を撫し、ここに2人の虚々実々の攻防が始まる。