興収&入場者数盛況も 東宝・ディズニーの2強崩す新機軸を
昨年の映画人口(入場人員)が、前年より2570万人増え、1億9491万人を記録した。今週発表されたのだが、この数字がどの程度かというと、1970年代の初め頃と同じなのである。いわば、50年近く前に戻った。興収は2000年以降最高の2612億円。単純に数字を見れば、これは凄いことである。
「天気の子」「アナと雪の女王2」「アラジン」「トイ・ストーリー4」と、興収100億円台が4本登場した。東宝が相変わらず好調でヒット作を連発し、知名度の高い作品を揃えたディズニーも年間興収記録だった。この2社の健闘が、昨年の記録的な数字を生み出したといえる。東宝、ディズニーだけで、全体興収の50%を超える。
ただ、両社の奮闘ぶりこそが映画界の大きな問題点のひとつとも考える。つまり、映画界は両社に依存し過ぎているのだ。この2社が数字を落とせば、それは映画界全体に大きな影響を及ぼしかねない。その“産業構造”を変えないと、真の映画界の発展には行きつかない。
そのためにまず、邦画のさらなるテコ入れが必要だろう。ひとつ考えた。今の邦画のヒット作はテレビ局映画が多い。ここをさらに強化したらどうか。テレビ局映画のヒットの多くが、東宝に偏っている現状を崩すのだ。たとえば、テレビ朝日は東映と資本関係にあるのだから、両社共同企画で年間3本ぐらいは作ってほしい。両社得意の刑事ものの新機軸を期待する。
テレビ東京は、若者のコア層中心に異色の企画で勝負できるのではないか。こちらも年間3本ほどを東宝以外でお願いしたい。テレビ局は広告収入が減っていると聞く。映画事業との連動で、番組そのものへの波及効果も狙いたい。とにかく、東宝、ディズニーへの依存の度合いを下げることが重要である。