「ELLE」父親のトラウマを引きずる女 性欲と葛藤する物語

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 こうした人間の原罪ともいえる欲望の衝突を、映画は入り組んだ人間関係を通して追究する。ただし話は分かりやすく、結末の落ちも秀逸だ。筆者は見終わったときM・デイビスの「死刑台のエレベーター」を聴きたくなった。

 見どころは地下室でのセックス。男がペニスを抜いたあともミシェルは股間を押さえ、床の上で身悶えしながら、終わりのないエクスタシーに悦楽の咆哮(ほうこう)を上げる。まさに熱演。このミシェルの姿態こそが本作のテーマを語ってくれるのだ。

 日本の若い観客は「何が言いたいのか分からない」と拒絶反応を示すが、欧州人はこうした性欲のミステリー映画を好む。共感し、支持する。ハリウッド映画に飼いならされた若者には分かるまい。

(森田健司)

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