木村拓哉は事務所がスターにしてくれたという意識から残留
「何か秀でたものがあるわけでもない僕をここまで押し上げていただいたのは会社以外の何物でもない」
中居正広が退所会見で述べた言葉である。
中居に限らず「本当に全てを与えられていた」【※1】と感じて、恩返しのために後進育成に舵を切った滝沢秀明など“何者でもない自分を何者かにしてくれた”という感謝は、ジャニーズ事務所のタレントに共通するものである。
選抜の基準を「やる気があって人間的に素晴らしければ誰でもいい」と語り【※2】原石の少年たちをスターにしてしまう故ジャニー喜多川氏は、さながら経営の神様・ドラッカーの「組織の目的とは凡人をして非凡なことを行わせることにある」という言葉を体現しているかのようにも思える。
しかし、そんなジャニーズ事務所の中でも“生まれながらのスター”の印象が強いのが木村拓哉だ。90年代に“キムタク”と呼ばれ、一世を風靡したたたずまいや「自分をつくってるのは自分」「自分が自分の生産者」【※3】といった“キムタクらしい”発言からは「ジャニーズ事務所のおかげ」といった雰囲気は感じにくいかもしれない。