噺家は反権力でなければならないわけじゃないのですが…
「#検察庁法改正案に抗議します」がTwitterを席巻しました。ご存じのとおり三権分立の根幹を揺るがしこのコロナ禍に不要不急の、いやコロナ禍以降でも公正な検察人事制度に手をつけるべきではない悪法に対して多くの芸能人、文化人が声をあげました。人気稼業の歌手、俳優が政治的発言をすることはタブー視されてきた日本では画期的なことです。賛否両論あるのは当然でしょうが、一国民として職業に関係なく政治に注文することも当然の権利ですよね。
そこで今回は落語家と政治的発言についてです。落語家はまず最初に師匠や先輩から「高座で政治、宗教、プロ野球の話はするな」と教わります。お客さまそれぞれにごひいきの政党、宗派、チームがあるのだからそれを揶揄して不快な思いをさせてはいけないという教えです。とはいえ、これは基礎中の基礎であってウケれば結果オーライというところもあります。要は大多数のお客が味方になって笑ってくれればオッケーという世界です。そもそも政治に対する噺家のスタンスなんて自分にプラスかどうかしかないんでね。
噺家は世情のアラで飯を食いというぐらいですから多少の政治の乱れはネタみたいなものです。ただ多少はです。汚職をすれば逮捕され、怪しいだけでもテレビで連日の報道が当たり前だった頃と比べて「私や妻が関わってた」のに辞職せず、テレビ報道も常に及び腰。となると大多数の世論が生まれずネタにもしづらい。言っておきますが決して噺家は反権力でなければならないわけじゃないですよ。ただ意外と真面目で正義感が強く、困ってる人がいない社会になってほしいだけなんです。格差社会が広がり落語にお金を使えない人ばかりにならないように、真面目に働いてる人が息抜きに落語を見られる労働環境でありますように、悪いことして金儲けはうまくいかない落語の世界観が通じる社会、勧善懲悪の社会であってほしいだけなんですよ。だから私も#検察庁法改正案に抗議しま……#安倍辞めろです。