川中美幸さんは20歳前に挫折…「船頭小唄」が再起の契機に
■「花の咲かない枯れすすき」は今の私だ
そんなある日、何げなくテレビをつけたら、聞こえてきたのが森繁久弥先生が歌う「船頭小唄」です。野口雨情、中山晋平が作詞・作曲の「船頭小唄」はいろんな方が歌っています。
森繁先生は「おれは河原の 枯れすすき」と、ゆっくり語りかけるように歌う。最後の「花の咲かない 枯れすすき」なんて、今の私じゃないかと思うと、涙がこぼれて。
その頃、大阪の毎日放送が「ネオン街音楽祭」というのをやっていて、もう一度チャレンジしたらどうかと言われて応募したんです。
毎日、ラジオの予選があって650人の中から最終的に11人が残りました。最後は11人で優勝を争うことになって、さて何を歌おうかと考えて思いついたのが「船頭小唄」でした。
この歌はいろいろな歌い方ができます。森繁先生のように語りかけるような歌い方もあるし、アレンジの仕方次第で歌いあげることもできる。私は「これから船頭として生きていくんだぞ」という感じを歌い上げました。