「ドローン・オブ・ウォー」通勤型戦闘員が抱える苦悩

公開日: 更新日:

 敵と味方が戦う戦争映画ではない。テーマは遠距離攻撃に従事する軍人の苦悩だ。ミサイル攻撃の場面に爆発音はなく、きわめて静かに爆殺が進行していく。

 トミーのような職業は「通勤型戦闘員」と呼ばれている。彼は毎日、ラスベガスの色鮮やかなネオンの中を通勤。アフガンの砂漠との対比はまるで天国と地獄だ。

 トミーはCIAの高圧的な命令で市民や子供を殺害。上官は職務として割り切れと言い、若手は鼻歌まじりでミサイルを放つ。モリーは米国人の妻らしく自己主張し、夫の残業で自分の予定が狂ったことをなじる。悩めるトミーは意識が茫然。騎乗位の妻に応じず、虚空を見上げるのだ。

 なぜこうなるのか。

 特殊な任務環境が原因だ。「最強!世界の未来兵器」(Gakken)という本を読んでいたら、無人攻撃についてこんな一文があった。

「無人機コントローラー(操縦者)は、基地内のオペレーション・ルームに入ると即目的地(戦場)であり、生々しい監視任務や攻撃任務の後に(次の担当者に引き継いで)オペレーション・ルームを出た瞬間に、“穏やかな”基地のオフィスに引き戻される。これを繰り返すうちに心理的不安定感を訴えるコントローラーが頻出したのだ」

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ロッテ佐々木朗希は母親と一緒に「米国に行かせろ」の一点張り…繰り広げられる泥沼交渉劇

  2. 2

    米挑戦表明の日本ハム上沢直之がやらかした「痛恨過ぎる悪手」…メジャースカウトが指摘

  3. 3

    陰で糸引く「黒幕」に佐々木朗希が壊される…育成段階でのメジャー挑戦が招く破滅的結末

  4. 4

    9000人をリストラする日産自動車を“買収”するのは三菱商事か、ホンダなのか?

  5. 5

    巨人「FA3人取り」の痛すぎる人的代償…小林誠司はプロテクト漏れ濃厚、秋広優人は当落線上か

  1. 6

    斎藤元彦氏がまさかの“出戻り”知事復帰…兵庫県職員は「さらなるモンスター化」に戦々恐々

  2. 7

    「結婚願望」語りは予防線?それとも…Snow Man目黒蓮ファンがざわつく「犬」と「1年後」

  3. 8

    石破首相「集合写真」欠席に続き会議でも非礼…スマホいじり、座ったまま他国首脳と挨拶…《相手もカチンとくるで》とSNS

  4. 9

    W杯本番で「背番号10」を着ける森保J戦士は誰?久保建英、堂安律、南野拓実らで競争激化必至

  5. 10

    家族も困惑…阪神ドラ1大山悠輔を襲った“金本血縁”騒動