ドラマで描かれないシーン 古関裕而は無類の愛煙家だった
それが40本と聞いただけで驚くが、作曲する段になると、さらにその本数が増える。1本吸い終ったら、次のタバコに火をつける。1曲、仕上げるたびに50本入りの缶が空になってしまうというのだから、相当なヘビースモーカーだった。
妻・金子(音=二階堂ふみ)からはたびたび、禁煙を勧められたが、古関の答えはいつも「そのうちに」。そして、「腸の中が燻製になっている。日本専売公社(現日本たばこ産業)から表彰されてもいいね」と笑い飛ばした。
そんな古関も禁煙に踏み切る時が来た。1978年5月、突然、右下腹に激痛が襲った。医師から胆のう炎が疑われると言われ、15日間の入院を余儀なくされた。検査の結果、胆のうには異常はなく、呼吸器系も正常で、肺がんの疑いもないことがわかった。
入院の最中、まったくタバコを喫わなかった古関は「この際だから」と一念発起。タバコをやめることを決断した。20歳の時に友人に勧められ初めてタバコを口にしてから、半世紀に渡り吸い続けた。