三浦春馬さんの人生と重なる…映画「ハニーボーイ」の壮絶
描くのは「ハリウッドの光と影」
本作は、そんな彼がアルコール依存症の更生施設で書いた初めての脚本を映画にしたものだ。半自伝的フィクションの形をとりつつも、長年トラウマの原因となっていた父親役を自らが演じ、その鬼気迫る演技で本国では高く評価された。
物語は、PTSDに苦しむ22歳のハリウッドスター、オーティス(ルーカス・ヘッジズ)の現在と、その原因となった12歳の子役時代が交互に展開する。暴力で幼い息子を支配し、自身はアルコールに溺れるろくでなしの父の元で荒れていく暮らしと、それでも失わぬ息子の父親愛の行方を描いていく。
「特徴的なのは、息子の稼ぎで生き永らえる父親自身が、その屈辱に耐えかね、つぶれていく姿を同情的に見せている点です。かつて虐げられた息子がそんな脚本を書き、演じたわけで、そこには過去を吹っ切ったシャイアのたくましさと、父親への愛情が感じられ感動的です。なにしろ彼が一番荒れていた頃には、飲酒運転で事故を起こして指を2本失う大けがをしたこともある。命を失っていてもおかしくなかったのです」(前田有一氏)
芸能界の光と影。行き過ぎた成功は、ときに自分とその周りの人々の運命をも狂わせることがわかる。