二つ目に昇進した年にNHK新人演芸大賞受賞するも戸惑いが
2008年2月、31歳にして桂伸治に入門し、宮治という芸名で前座修業が始まる。
「30すぎて入門すると大変なのは師匠から聞いてました。『おまえより年下の先輩たちに指図されるんだよ』って。だから、地獄を覚悟していたのですが、思ったほどではなかったですね。入って半年くらいは分からないことばかりでつらかったけど、だんだん楽しくなってきました。何せセールスと違って、一生の仕事と決めた好きな道ですから。化粧品が売れたうれしさとはまったく違う充実感がありました」
12年3月、二つ目に昇進して、その年のNHK新人演芸大賞落語部門で大賞を受賞する。
■名前を呼ばれた瞬間、『やっちゃったな』
「二つ目になって目標にしたのは、そのコンクールの予選を通って、テレビ放送される本選に進むことでした。だから通ったのがめちゃくちゃうれしくて、出た時に自分が楽しんじゃった。それがよかったのか、思いもよらない大賞受賞です。だから審査結果発表で名前を呼ばれた瞬間、『やっちゃったな』という表情をしてたはずです。こんなに早く取っちゃって、どうすんだ。真打ちになるまで10年以上もあるのに、これから何を目標にすればいいんだ、という戸惑いが先に立ったんです」