郵便局元課長の2億7000万円着服事件 企業とグルになったら
東京・芝郵便局の元課長が約9400万円分の切手を着服したという事件、警察が遡って調べたら総額2億7000万円もの被害があったという。こんな額の切手を着服したら普通バレるだろうと思うが、そこにはこんなカラクリがあった。
企業などが大量の郵便物を発送する際に切手の代わりに機械でスタンプを押してくれるサービスがある。「料金別納」と書かれたDMをもらったことが皆さんもあるだろう。これなら郵便料金をまとめて払えるし、切手を貼る手間も省ける。問題は、この際、企業側が切手で支払うことも以前は可能だったということにある。つまり手付かずの切手が郵便局に戻ることになるのだ。もちろんこれは一度販売したものだからもう売ることはできない。
ではどうするか。面倒くさいことにこの切手にいちいち消印を押し、即日裁断処分していたのだ。今回の事件は、担当者が消印を押すのをサボり、それを押すのを確認する立場の元課長がこれを着服して起こった。
ではなぜ明るみに出たのか。この元課長は切手を金券ショップで換金していたのだ。その金券ショップに税務署が調査に入ったところ、定期的に大量に切手を売る客を怪しんだ。こういう売買の場合、身分証を提示する。店には元課長の身元があり、税務署はおそらく脱税の容疑で本人を調べたのだろう。このことが局内で漏れ、内部調査で不正が発覚した。