韓国映画「SEOBOK/ソボク」は 「クローンES細胞捏造事件」を彷彿とさせる
来週16日から韓国映画「SEOBOK/ソボク」が公開される。国家の極秘プロジェクトで誕生した人類初のクローンと、護衛する男が危機的状況に追い込まれていくSF大作だ。映画のクローン人間は幹細胞複製と遺伝子操作で作られたが、過去に韓国で発覚した「クローンES細胞捏造(ねつぞう)事件」を思い出させる内容だ。
2004年、ソウル大学の黄禹錫(ファン・ウソク)教授が「世界で初めてヒトのES細胞作製に成功した」と発表した。世界で誰も成し遂げられなかった偉業を達成したことで、国民はノーベル賞受賞を期待。将来の医療ビジネスを大いにもり立てることは間違いなく、ファン教授に日本円で35億円も支援していた韓国政府も大喜びで、記念切手まで発行した。貧しい苦学生だったという生い立ちも注目された科学者は国民的英雄となり、インターネット上にファンクラブまで設立される人気ぶりだった。
ところが翌年、韓国のテレビ番組「PD手帳」(MBC)によって、その論文がデタラメだったことが発覚する。このとき叩かれたのはファン教授ではなく、テレビ局のMBCだった。当初、国民やメディアはMBCと番組に対し、「非国民」と激しく抗議したのだ。番組スポンサーへの不買運動が起こり、すべてのスポンサーが降板。番組は休止に追い込まれた。さらにはMBCの全番組の視聴率が低下する異常事態に。教授の支持者たちは抗議デモを行い、「『PD手帳』の責任者を刑事処罰しろ!」という声まで上がった。