<34>アプリコ番頭格のマコやんと大阪・八尾で合流 酒を積んで田辺へ
積み荷が崩れないようにロープでしっかりと締めるのも、1人だと大変な作業だ。一番怖いのは荷崩れである。高速道路を利用しているので、念には念を入れてロープの締め具合をチェックするのだ。
かなりの肉体労働を伴う仕事で、自分から行きたいと言う者はいない。そのため順番でやることになっていたが、別の仕事で都合がつかない従業員もいたりして、マコやんが担当する頻度は高かった。
私も何度か従業員と一緒に行ったことがあり、駅の近くでピックアップしてもらえばマコやんを手伝うこともできるし、田辺まで一緒に帰ることもできる。
喫茶店で時間を潰して外に出ると、マコやんが運転するアプリコのロゴが大きく書かれたトラックが目の前で止まった。
「お久しぶりですね」
キャリーバッグを荷台に載せて、助手席に腰掛けた。
「ヨッシー、元気そうやな」
マコやんはいつも明るかった。
酒問屋に行き、荷物を積み込む手伝いをしてから八尾を出発し、田辺を目指した。 (つづく)