<29>2017年12月、ドン・ファンから六本木のホテルに呼び出され早貴被告とも再会
「今晩、お時間ありますか? 午後5時ごろに六本木のホテルに来て欲しいんやけど」
須藤早貴被告が初めて田辺に行ってから10日ほど後の火曜日、2017年12月19日の昼前のことだった。東京に来ていた野崎幸助さんから電話をもらった。
「仕事が入っていますけれど、何の用事ですか」
「それは会った後で。仕事? そこをなんとかなりませんか?」
困ったような声だった。
「では少しだけ顔を出します」
何の用事で呼び出すのか理由を言わないのもドン・ファン流だ。
■最上階の会員制フロア
午後5時すぎにホテルに顔を出すと、最上階の会員制VIPフロアに来るようにと言われたので、係員と一緒にエレベーターで上がっていった。
ここの最上階はエレベーターの差し込み口に専用のカードを入れないと上がれない仕組みだ。宿泊客でない私は、係員を伴わないと目指す階には行けなかった。