<52>聖路加病院の名物院長からドン・ファンに届いていたお礼状
「あんた、べっぴんさんやね~」
部屋に来る学生看護師さんに片っ端から声を掛けるのも当たり前のルーティンワークだった。
「今日は外出が許可されていますが、ホステス遊びは切り上げて時間には帰ってきてくださいよ」
「はいはい。分かりました」
3日ほどかかった人間ドックでは外出許可が出ることもあったので、銀座まで一緒にタクシーで行ったこともある。私はそこで別れたが、ドン・ファンは一人で行きつけの店に行ったようだ。
「そういえば、日野原先生が亡くなりましたね。社長は、先生のことを知っているんですか?」
2017年7月に名誉院長だった日野原重明先生が105歳でお亡くなりになったあと、この話題をドン・ファンに振ったこともあった。
「知っているも何も、親しくさせてもらっていたんやで」
「ホントですか?」
話を盛るのが得意のドン・ファンであるからにわかには信じられない。