著者のコラム一覧
井筒和幸映画監督

1952年12月13日、奈良県出身。県立奈良高校在学中から映画製作を始める。75年にピンク映画で監督デビューを果たし、「岸和田少年愚連隊」(96年)と「パッチギ!」(04年)では「ブルーリボン最優秀作品賞」を受賞。歯に衣着せぬ物言いがバラエティ番組でも人気を博し、現在は週刊誌やラジオでご意見番としても活躍中。

岸田政府よ、何が成長につながる経済対策だ 速やかに庶民に配ることだ

公開日: 更新日:

 毎週書いているが、岸田政府はまだ給付金を配れないでいる。与党同士で世帯の年収が夫婦共働きで合算なら18歳以下の子供にどうだこうだとバカな問答ばかりしている。条件などどうでもいいのだ。子供がいようがいまいが、ひとり親でも共働きでも足して1000万以下なら全世帯に配ったらどうだ。

 庶民は半殺しにされたまま、怒りの声も上げることなく、テレワークに慣らされて飲みに行くのも忘れている。働き口を失った者は貯金を下ろすか、風俗に走るか、借金をするか、どこかに居候するか、日々、ため息をついている。

 政府よ、何が成長につながる経済対策だ。コロナ予算が22兆円も使われず残っているならすぐにそこから回せるだろうが。生活に困窮する者に一日も早くカネを配るのは急務だろ。株価上昇はどうでもいい。議員の通信交通費もどうでもいい。速やかに庶民に配ることだ。若者にデモが起きないのも不思議だ。恐ろしくおとなしい。未来に向かって叫ぶ余裕もない。知性の反乱も起きない。内向意識しかない貧しい国だとつくづく思う。

 一方、金持ちの企業家が100億円払ってロケットで宇宙に飛んで「地球を眺めてみたい」とはしゃいでいた。100億円あれば世界の人たち、特に日本の子供らに見せられる歴史映画が20本は作れるのにもったいないなと思った。日本皇軍が満州とモンゴル国境でソ連軍と無残な戦争をしてしまった「ノモンハン事件」の実相を描くのもいいし、戦後の新憲法を作っている最中だった昭和21年の焼け跡だらけの上野を舞台にした戦争孤児たちのたくましさを描く話もいいし、特攻命令に従わず、反抗して生還した元兵士と進駐米軍兵と売春婦が三つ巴で恋の火花を散らすコメディーも面白いし、題材を思い浮かべるだけでも楽しいものだ。

■関連キーワード

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • 芸能のアクセスランキング

  1. 1

    【独自】フジテレビ“セクハラ横行”のヤバイ実態が社内調査で判明…「性的関係迫る」16%

  2. 2

    人事局付に異動して2週間…中居正広問題の“キーマン”フジテレビ元編成幹部A氏は今どこで何を?

  3. 3

    “氷河期世代”安住紳一郎アナはなぜ炎上を阻止できず? Nキャス「氷河期特集」識者の笑顔に非難の声も

  4. 4

    中居正広氏&フジテレビ問題で残された疑問…文春記事に登場する「別の男性タレント」は誰なのか?

  5. 5

    TV復帰がなくなった松本人志 “出演休止中”番組の運命は…終了しそうなのは3つか?

  1. 6

    "日枝案件"木村拓哉主演「教場 劇場版」どうなる? 演者もロケ地も難航中でも"鶴の一声"でGo!

  2. 7

    フジテレビに「女優を預けられない」大手プロが出演拒否…中居正広の女性トラブルで“蜜月関係”終わりの動き

  3. 8

    別居から4年…宮沢りえが離婚発表「新たな気持ちで前進」

  4. 9

    ビートたけし「俺なんか悪いことばっかりしたけど…」 松本人志&中居正広に語っていた自身の“引き際”

  5. 10

    フジテレビを襲う「女子アナ大流出」の危機…年収減やイメージ悪化でせっせとフリー転身画策

もっと見る

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    大谷翔平の28年ロス五輪出場が困難な「3つの理由」 選手会専務理事と直接会談も“武器”にならず

  2. 2

    “氷河期世代”安住紳一郎アナはなぜ炎上を阻止できず? Nキャス「氷河期特集」識者の笑顔に非難の声も

  3. 3

    不謹慎だが…4番の金本知憲さんの本塁打を素直に喜べなかった。気持ちが切れてしまうのだ

  4. 4

    バント失敗で即二軍落ちしたとき岡田二軍監督に救われた。全て「本音」なところが尊敬できた

  5. 5

    大阪万博の「跡地利用」基本計画は“横文字てんこ盛り”で意味不明…それより赤字対策が先ちゃうか?

  1. 6

    大谷翔平が看破した佐々木朗希の課題…「思うように投げられないかもしれない」

  2. 7

    大谷「二刀流」あと1年での“強制終了”に現実味…圧巻パフォーマンスの代償、2年連続5度目の手術

  3. 8

    国民民主党は“用済み”寸前…石破首相が高校授業料無償化めぐる維新の要求に「満額回答」で大ピンチ

  4. 9

    野村監督に「不平不満を持っているようにしか見えない」と問い詰められて…

  5. 10

    「今岡、お前か?」 マル秘の “ノムラの考え” が流出すると犯人だと疑われたが…