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細田昌志ノンフィクション作家

1971年、岡山市生まれ、鳥取市育ち。CS放送「サムライTV」キャスターから放送作家としてラジオ、テレビの制作に携わり、ノンフィクション作家に。7月に「沢村忠に真空を飛ばせた男 昭和のプロモーター・野口修評伝」(新潮社)が、第43回講談社本田靖春ノンフィクション賞を受賞。

五木ひろしの光と影<22>野口修は「今年はボクシング、キック、芸能のタイトルを絶対取る」

公開日: 更新日:

 1973年初頭、野口修は野口プロモーションの社員を前に高らかに宣言した。

「いいか、今年は3つのタイトルを取る。3つのタイトルだぞ。いいか。絶対取る」

「3つのタイトル」とは、プロボクシングキックボクシング、芸能という野口プロモーションが手掛ける3つのジャンルで、それぞれを代表する栄冠を手にするという意味である。プロボクシングにおいては、所属選手である龍反町に世界王座を取らせることだった。この時期、世界ジュニアミドル級王座のベルトを保持していたのは輪島功一。所属は三迫ジム。野口家の一門である。会長の三迫仁志は現役時代は門下生として野口家に鍛えられ、少年時代には居候していた過去さえある。野口修は古い付き合いになるこの三迫との話し合いで「王者・輪島功一対挑戦者・龍反町」世界ジュニアミドル級タイトルマッチをあっさりとまとめた。

「本当はやりたくなかったよ。反町とは友達だったし、スパーリングも随分やったしね。いいやつなんだよ。でも、ウチの会長は野口社長と仲が良くて『ウチは野口一門だから反町にチャンスをやろう』って言う。『あんた、一体どっちの味方なんだ』って思ったもんよ」(現在は輪島スポーツジムを主宰する輪島功一)

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