「当時、吉本社内にかつらをかぶっていたはげのお偉いさんがいはって、ズラは禁句でした(笑い)」
芸名変更の訳はそういうことだったのだ。
「姉様キングスという名前には、女(姉様)でも男(キング)でもない、芸妓という生き物という意味もありました。姉キンと縮められるのもいいなあと」
このユニットがまさか20年以上も続くとは思ってなかったろう。その間、海外でも公演している。
「最初は2005年で、ロシアとウクライナでした。バラライカの縁やろか(笑い)。日本語を勉強している現地の方々に見てもらいました。『ジャパニーズ・ゲイシャガール』と思うてた方もいたみたいで、『ちゃいます。偽物です』と言ったものです」
その後、ニューヨーク、ロンドンでも公演したというからたいしたものだ。
「僕は上方落語の古典を地道にコツコツとやっていくタイプやったのに、あやめさんが姉様キングスという新しい扉を開けてくれたと感謝してます。活動範囲が大幅に広がりましたから。NGK(なんばグランド花月)みたいな大きな劇場に出られるのも音曲漫才だからこそで、師匠染丸にも、『感謝せなあかんぞ』と言われました」