【追悼】崔洋一監督 井筒和幸氏が明かす“戦友”秘話「骨のある映画屋がいなくなったことは悔しい限り」
体制批判、文化批判、お互い似ている気の合う仲間で、いちずな人で舌鋒鋭かった。「パッチギ!」(2005年)の編集と崔さんの「血と骨」(04年)の撮影所が同じで、たばこを吸いに外に出ると崔さんもいて、たわいもない話をしたことも思い出す。後年は監督協会の仕事が忙しかったのか作品を撮っていなかったが、安請け合いする監督と違い、崔さんは自分の撮りたい作品でなければ絶対やらない。そんな崔さんだから自分の撮りたいものを探していたんだろう。
監督業は60歳じゃまだまだ手習い。これから老練な裁きで大人を興奮させる作品を作るはずだっただけに残念でならない。また一人、骨のある映画屋がいなくなったことは悔しい限りだ。
(聞き手=岩渕景子/日刊ゲンダイ)