藤圭子「空腹とニヒリズム」(1)歌うことはすなわち家族が食べていくことだった
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人はおよそ貧乏に生まれることを望まない。しかし、生まれ育ちが本人の意思で選べない以上、自力で底辺から這い上がってきた者は、それだけでスターとなる資格を持つ。作家の五木寛之が〈怨歌〉の歌い手と定義した藤圭子は、その象徴的な存在だった。
藤圭子(本名・阿部純子)の両親は旅回…
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