切り取られた言葉は純粋で、それ自体が光を放つ 胸に突き刺さる珠玉の言葉
よく批判された反論の弁明に「言葉を切り取られた。全部読んでから言って欲しい」というのがあるが、大抵は全部読んでも同じだ。中にはもっと酷い発言を発見することもある。
まあそれほど「切り取られた言葉」には力があるわけで、だからこそ金言、名言が生まれるわけだ。
現在出演中の渡辺えり古稀公演「鯨よ!私の手に乗れ」「りぼん」2本立て公演のセリフの中にも、劇作家渡辺えりが紡いだ珠玉の言葉がたくさんある。
舞台上ではさらりと語られ、あまり注目を浴びないが、私がドキッとさせられるのが、「今の日本人のほとんどが人殺しの子孫だ」というセリフだ。先の戦争もそうだが、卑弥呼の時代から戦国時代、江戸時代まで、ずっと内戦が絶えなかったのだから、必ずしもはずれてない。日本人を人類に置き換えても成立する。
えりさんの母をモチーフにした三田和代さん演じる認知症の老婆のセリフ「人間は死ぬために生きてるんだ。だから頑張んな。いつか死ねるんだから。それまで頑張んな」「人が作ったものの方が、自然のものより奇麗なんだよ。心が入るからね」なども美しい言葉だ。私のセリフには「限りあるものを永遠に変える」というのがある。つまりは全て「演劇」を、「芸術」を指している。