女優・剣幸さん「中畑清さんの引退試合のホームランを見て退団を決めた」
辞めてからは俳優のお仕事をいただけて今日に至っています。
■井上ひさしさんに「芝居は生きもの」と教わった
女優として人生を変えた出会いは劇団「こまつ座」の井上ひさしさんですね。鵜山仁さんや栗山民也さんの演出が自分が思っているお芝居の作り方じゃないのが一つ。それから井上さんの遅筆です。2作目の出演の時は初日が2日遅れました。井上先生は稽古場で台本を1枚ずつ作るんです。だから最後がどうなるかわからない。楽しくて刺激的というか。だから初日が開いた時の感動たるやすごいものがありました。先生のつむぐ言葉の奥の深さを目の当たりにして「芝居は生きものだ」と感じました。台本の隅々まで先生がどういう思いでお書きになっていたか。先生が言葉にかけた思いを役者としてもやっぱり大事に大事に言わなきゃいけないと考えさせられました。
今月13日には舞台「ナイト・ウィズ・キャバレット」が始まります。俳句を作る男女の16年を描いた物語です。1941年まで日本が戦争に向かう前までの物語です。大正時代は割と華やかで自由だけど、日中戦争が始まって言論の自由も奪われていく。時代とともに2人の関係もどんどん変わり、面白さ、危うさ、俳人の持ってる奇妙さが浮き彫りになる。そんな人間ドラマが見どころです。
◇小林タカ鹿と2人芝居「ナイト・ウィズ・キャバレット」(2月13~23日、シアターグリーン、脚本・西史夏、演出・堀越涼)