ハワイから拳銃を持ち帰った里見浩太朗
<1964年8月>
京都府警保安課は8月10日すぎから東映所属の里見浩太朗(当時27)と山城新伍(同25)の2人を取り調べていた。容疑は銃砲刀剣類所持等取締法違反と関税法違反。映画俳優2人がハワイからピストルを密かに持ち帰っているとの情報を得た京都府警は数カ月前から内偵を進めていた。まもなく、ひとりは山城だと判明したが、もうひとりが誰なのか、すぐには分からなかった。
山城ら東映の俳優6人がハワイに巡業に行ったのは前年4月。山城を除く5人を消去法で調べていき、ピストルを持ち帰ったもうひとりは里見だと判明。京都府警は本人たちの取り調べに踏み切ったのだった。
2人はホノルルのマーケットでSW22口径を50ドルで1丁ずつ購入。当時は1ドル=360円の固定レートで、1丁が1万8000円だった計算になる。ピストルはスーツケースの底にしのばせて持ち帰ったという。取り調べで山城は冗舌だった。
「ハワイでは証明書があれば、自由にピストルが買える。好奇心で持って帰ってしまった。帰国後は実弾を手に入れ、撮影所で射撃の練習をしていたが、ピストルも飽きたので世話になっていた人にあげた」