老いを苦にして7階から飛び降りた 大友柳太朗
<1985年9月>
ベテラン俳優が自宅マンション屋上から飛び降り自殺を遂げる事件が起きたのは9月27日。往年は時代劇スターとして鳴らし、死の直前もドラマやバラエティーで売れっ子だった大友柳太朗。73歳だった。
午前9時15分ごろ、東京・南青山のマンション前にドスンという音が鳴り響いた。何事かと思った1階に住む住人が見に行くと植え込みの中に男性が倒れていた。同じマンションの5階に住む大友だった。
異変を感じ、「主人がいなくなった」とマンション内を捜し回っていた妻も気付き、すぐに駆けつけたが、夫の姿を見て気を失ってそのまま寝込んでしまった。大友は発見直後は息があり、救急車が呼ばれたが、結局命は助からなかった。
自室の机には出演中のドラマのプロデューサーへのおわびとともに「おかあちゃん、ゆっくり休んでください」という妻にあてた短い遺書が残されていた。7階建てのマンション屋上にはサンダルが揃えてあり、覚悟の自殺だった。
そのしばらく前から奇行が見られていた。死の数日前には、自宅前の道路で「ここで俺は死ぬんだ」と叫び仁王立ち。それで車が立ち往生し警官を呼ぶ騒ぎになった。