どん底の錦野旦と結ばれた清純派女優 武原英子
<1980年9月>
9月19日午後2時、東京・品川区の妙光寺で錦野旦(にしきのあきら、当時31)と武原英子(同34)の結婚式が開かれていた。“1億円挙式”といった豪華さを競っていた時代に、芸能人同士にしては地味だったが、詰め掛けたファンたちの目には逆にそれが新鮮に映った。白無垢(むく)に文金高島田の武原の美しさに感嘆の声が上がった。
2人が出会ったのは2年前。当時の錦野はどん底にあった。前年の77年10月、大麻取締法違反で逮捕されていた。
「知り合いから譲り受けた大麻を所持していたんですが、少量で使った形跡もなかったので起訴猶予で済んだ。しかし、すでに下り坂にあった錦野にとってはダメージは大きく、しばらく新曲も出せなくなってしまったんです」(芸能記者)
錦野は70年5月、「もう恋なのか」でデビュー。同年のレコード大賞最優秀新人賞を受賞し、一躍スターダムにのし上がった。転落の始まりは73年。マネジャーが錦野の名前でカネを借りまくり、失踪。その返済のためにドサ回りを余儀なくされて人気が急落。そこに大麻事件が追い打ちをかけた。