迫り来る貧困…「高血圧の薬」は定年後どうするべきか?
ただし、「高血圧治療ガイドライン2014」は第1選択の高血圧の薬として「利尿薬」「カルシウム拮抗剤(CCB)」「ACE(アンジオテンシン変換酵素)阻害薬」「ARB(アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬)」を推奨しているが、どれかひとつが飛びぬけて優れているわけではない。
「利尿薬は血液中のナトリウムと水を尿として体外に捨てることで血液量を減らして血圧を下げます。CCBはカルシウムイオンが血管の細胞に取り込まれるのを防ぐことで血管を拡張する、ACE阻害薬やARBは血管を強烈に収縮させるレニン―アンジオテンシン系の一連の仕組みの一部を邪魔する、などそれぞれ違った作用で血圧を下げます。しかし、この4種類の降圧薬の合併症予防効果に格別大きな差はありません」
これは1999年以降に発表された複数のランダム化比較試験で証明されているという。
「糖尿病の薬は血糖値の下げ幅の大きさが必ずしも合併症の予防効果に直結しませんが、血圧の薬は血圧の下げ幅と脳卒中予防効果はほぼ一致します。その意味では利尿剤はもっと注目されていい。尿酸や血糖を上昇させたり、電解質異常を起こす懸念があるなどといわれていますが、降圧効果は他の薬と遜色なく、安いからです。最も値段が高いARBが最も多く処方されている現状は異常なことです」