7月に新たに承認されたHPV9価ワクチンの実力と泣きどころ
それでも、国内の子宮頚がんの罹患(りかん)者は年間約1万人、毎年約2800人が亡くなっています。患者さんは20代から増え始め、30代までにがんの治療で子宮を失う人も毎年約1200人います。
そこで日本では、2009年12月にHPVワクチンが承認され、定期接種(3回接種、公費負担)が始まりました。対象者は小学6年~高校1年相当の女子です。
これまで国内で承認されているワクチンは、16型と18型の2つの型に対応した「2価ワクチン」と、さらに尖圭コンジローマの原因となる6型と11型を加えた「4価ワクチン」です。
それが今年7月に、新たに「9価ワクチン」が承認されました。2価と4価ワクチンは子宮頚がんの原因の約65%をカバーしますが、9価ワクチンは約90%を防ぐとされています。
ただし、HPVワクチンは接種後に運動障害や持続的な疼痛(とうつう)など「多様な症状」の発現が報告されたことにより、「積極的な推奨」はされていません。子供への接種を検討する際には、医師にメリットとデメリットの説明を十分に聞く必要があります。
また、成人女性や男性も自費になりますが、ワクチン接種をすることでまだ感染していない型のHPV感染を予防することができます。