コロナ重症化で精子に異常が…ICU入院男性は精子生存率が0%に
むしろ専門家が注目しているのは、精子の質に与える影響だ。
前回の「イタリアの研究」は、フィレンツェ大学などの研究チームが、コロナに感染した33~59歳の男性43人を対象に行ったもの。ウイルスが検出されなくなってから23~49日後の精液を調べたところ、4人に1人にあたる11人(26%)に精子の異常が見られた。そのうち8人は無精子症、3人は乏精子症だった。
「精子の異常はコロナの重症度と関係がありました。集中治療室(ICU)まで行ってしまった重症例ではほぼ無精子症になっていました」
■濃度も低く、運動能力が劣化
外来、入院、ICUに分類して精液所見を見ると、精液検査による総精子数は、外来は1億3325万個(中央値=以下同)、入院は3810万個に対し、ICUは0個。精子の生きている割合は、外来59%、入院49%だったが、ICUになると0%だった。
ドイツの研究でも、コロナに感染して回復した84人と、同年代の健康な105人の精液を60日間、10日間隔で調査。感染者は健康な人に比べて精子に悪影響を与える炎症や酸化ストレスを示す数値が有意に高かった。