認知症最新研究 特定の「音」を聞かせて原因物質アミロイドβを減少させる
たとえば東京電機大学は、超高周波音が認知症患者の心理・行動症状を緩和する可能性を示唆。東北大学は、低出力パルス波超音波治療が早期アルツハイマー病患者に安全・有効である可能性を示唆といった内容の研究結果を発表している。
古賀医師がとりわけ着目するのは、マサチューセッツ工科大学の研究者Dr. Tsaiが行った音刺激による認知症予防研究だ。19年にはマウスの実験結果が、22年には人間への実験結果が、それぞれ権威ある学術誌「Cell」「PLOS ONE」に発表された。
カギとなるのが、1秒間に40回のペースで周波数1キロヘルツのオン・オフを繰り返し提示する「40ヘルツ周期の断続音」と「脳のガンマ波」だ。
「ガンマ波は、認知(情報処理)プロセスで増加する脳波で、健常者と比べて、アルツハイマー病の患者さんではこれが減少しています」(古賀医師=以下同)
19年発表の研究では、アミロイドβタンパクを発生させたマウスに40ヘルツ周期の断続音を聞かせたところ、音がない状態では見られなかったガンマ波が、聴覚野と海馬に発生した。