聴力は問題ないのに会話の内容がわからない…それは「APD」の可能性
APDと診断された20代女性の場合、雑音下では「クマ」を「フナ」と聞き間違える、早口での言葉の処理が追い付かない、語頭は聞き取れても語尾までは聞き取りにくいといった症状で業務に支障をきたしていた。
「診断後の支援として、まずは周囲の人にAPDとは何か、どういう状況で聞き取り困難になるのかを説明するよう伝えました。必要であれば診断書を発行し、会話は短くはっきり話す、書面の併用や文字音声化アプリの使用が有効など、その患者さんに必要な配慮についても記載しています」
複数人が同時に話す場や音が反響しやすい場ではロジャー(補聴援助システム)の使用も有効だ。送信機(マイク)と受信機(イヤホン)からなり、マイクで拾った声は環境音の影響を受けずにイヤホンへ伝わる。APDと診断された中学生は授業でロジャーを使用したところ、着用前と比較して聞き取りにくさは約7割まで減少したという。
「最近は『デジタル耳栓』と呼ばれる環境音だけをカットし声の聞こえを向上できる耳栓もあります。5000円程度で購入できるので試してみるといいでしょう」