パートナーが発達障害の人「カサンドラ症候群」要注意 不眠や食欲低下を招き、うつリスク増

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 近年、発達障害の認知度が高まる中、自閉症スペクトラム症(ASD)の人とコミュニケーションがうまく取れずトラブルになり、周囲の人の心身に不調が現れる「カサンドラ症候群」という言葉が広まりつつある。放置するとうつ病を発症する危険性がある。「早稲田メンタルクリニック」院長の益田裕介氏に詳しく聞いた。

 ASDとは発達障害のひとつで、こだわりが強く特定の物事に強い興味や関心を持ち、発達障害を持たない定型発達の人とのコミュニケーションに困難が生じるのが特徴だ。ASDのパートナーと円滑なコミュニケーションが取れず日常生活で衝突が生じ、抑うつや無気力といった精神が疲弊した状態を「カサンドラ症候群」と呼ぶ。正式な医学的病名ではないので、「適応障害」や「うつ病」と診断されるケースが多い。ASDの発生頻度は男性が女性の4倍という点から、主にASDの夫と暮らす妻が発症しやすいという。

「近年、ASDの人は定型発達者と比較して、他者の考えを推測する役割を担うミラーニューロン(神経細胞)の働きが弱いと考えられています。妻がASDの夫に悩みを伝えようと試みても共感性の弱さから理解を得られず、何をしても無意味だと感じる『学習性無力感』が募り絶望感や孤独感といった抑うつ状態を引き起こすのです」

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