小池都知事の空疎な言語センス オミクロン株急拡大を「首都直下地震に相当」と過剰表現
政治家にとって言葉は「生命線」だ。名言を歴史に刻むのも失言で失脚するのも、政治家の「言語感覚」次第だと言える。小池都知事の場合、その「言語感覚」がちょっと変だと感じてしまうのは私だけであろうか。
例えば、小池知事は9日の会見で、新型コロナウイルスのオミクロン株による感染急拡大の状況について、「超音速に『極』をつけてもいいくらいの急速な拡大」などと表現していた。「極」とは、北朝鮮が発射を繰り返している「極超音速ミサイル」を指しているのだろう。北朝鮮の脅威と急激なコロナ感染のスピードを結びつけて警鐘を鳴らした、ということなのだろうか。
だが、私にはどこか当事者意識を欠いた、上っ面だけの言葉に聞こえてならなかった。わざわざ北朝鮮を持ち出す必要がどこにあるのか。さすがにドヤ顔とまでは言わないが、小池知事の表情は、こう言いたいかのようだった。
「ね、私って気の利いたことを言うでしょ。国際情勢とコロナを関連付ける政治家なんて、私以外にはいないのよ」
「意地悪な見方」と思われるかも知れないが、「極」発言に限らず、小池知事が発する言葉は、いつもその場限りのウケ狙い。言葉を聞いた者の中に共感を呼び覚ます力が決定的に欠落していると言わざるを得ない。