著者のコラム一覧
田中幾太郎ジャーナリスト

1958年、東京都生まれ。「週刊現代」記者を経てフリー。医療問題企業経営などにつ いて月刊誌や日刊ゲンダイに執筆。著書に「慶應幼稚舎の秘密」(ベスト新書)、 「慶應三田会の人脈と実力」(宝島新書)「三菱財閥 最強の秘密」(同)など。 日刊ゲンダイDIGITALで連載「名門校のトリビア」を書籍化した「名門校の真実」が好評発売中。

慶応幼稚舎のクラス編成で「O組」は医者の子が目立つ 芸能人やアスリートの子弟は何組?

公開日: 更新日:

 お受験で慶応幼稚舎がもてはやされる理由としては、大学までの内部進学が約束されていることや、その圧倒的なブランド力がすぐに思い浮かぶ。だが、幼稚舎出身の慶応大元教授は「もっと重要なポイントがある」と話す。

「良家の子弟が多く、華麗な人脈が築かれる。いわば一生ものの財産がここで形成されるのです」

 幼稚舎の特徴として、担任持ち上がり制が挙げられる。6年間クラス替えがなく、担任教諭もずっと同じなのだ。クラス内の結束力は必然的に強まることになる。

「僕の頃はK、E、Oの1学年3クラス。最も慶応を体現しているといわれるのが僕がいたK組。親は慶応の卒業生で実業家というのがよく見られるパターン。家業を継いで社長になっている同級生がけっこういて、いまだにつきあいが続いている」(元教授)

 E組はサラリーマン家庭の子弟が多いクラスだが、残るO組にはかなり偏った特色がある。

「わがK組は友達をつくることが奨励され、とにかくみんなと遊びなさいというクラス。一方、O組は医者の子どもが目立ち、医学部を目指し勉強、勉強といった感じ。慶応以外の大学に行くケースが多い」(同)

■コネが疑われやすかったK組とO組の特色が薄れる

 ただ、こうした傾向も、2002年度にI組が加わり1学年4クラス体制になった頃からだいぶ薄れてきたという。

「4クラスになったからというわけではなく、99年春~02年秋に舎長(校長)を務めた金子郁容氏(現慶応大名誉教授)が縁故枠撤廃に動いたのが大きい。コネが疑われやすかったK組とO組の特色も消えていった」(幼稚舎関係者)

 とはいえ、いまだにかつての傾向は残っていると話すのは内実を知る幼児教室経営者だ。

「やはりO組には医学部志望の子が多い。バラバラのクラスに分けてしまうと、彼らが望むような授業ができない。スパルタ式の詰め込み教育、ゆとり教育……とそれぞれのニーズに合わせたクラス編成が必要なのです」

 近年増えている芸能人やアスリートの子どもは、ごく常識的なE組やI組に組み込まれるケースが多いという。ただ、人脈づくりにおいてはクラス分けがすべてではない。6年間クラスが替わらないといっても、5年生になると交流の場が新たにできる。クラブ活動である。

「5年生と6年生はクラブに入ることが義務づけられる。そこで別のクラスの児童とも絆を深めるのです」(前出の関係者)

 最も有名なのはラグビー部。小5~大学4年の12年間、スクラムを組み続けるということも珍しくない。そうしてできた人脈は太い幹となっていく。元フジテレビキャスターの故上田昭夫氏、ゴールドマン・サックス証券・持田昌典社長、ロッテHD玉塚元一社長、ドラマ「半沢直樹」の演出家・福澤克雄氏ら、挙げだしたらきりがない。幼稚舎出身のラグビー人脈を見ていくだけでも、同校の強みがうかがえる。



◆田中幾太郎の著書「名門校の真実」」(1540円)日刊現代から好評発売中!

最新のライフ記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • 暮らしのアクセスランキング

  1. 1

    大阪・関西万博“裏の見どころ”を公開!要注意の「激ヤバスポット」5選

  2. 2

    大阪万博メディアデー参加で分かった…目立つ未完成パビリオン、職人は「えらいこっちゃ」と大慌て

  3. 3

    大阪万博ハプニング相次ぎ波乱の幕開け…帰宅困難者14万人の阿鼻叫喚、「並ばない」は看板倒れに

  4. 4

    テレビでは流れないが…埼玉県八潮市陥没事故 74歳ドライバーの日常と素顔と家庭

  5. 5

    「2025年7月」に大災難…本当にやってくる? “予言漫画”が80万部突破の大ベストセラーになったわけ

  1. 6

    兵庫県職員新規採用「辞退率46%」の異常事態…知事のパワハラ疑惑が原因なのか?昨年は25.5%

  2. 7

    (4)多くの農家が潰れるから企業参入促進というおかしさ 間違った「議論の前提」が稲作を崩壊させる

  3. 8

    昭恵夫人に一私人らしからぬカネと力が… 安倍元首相の政治資金「2億4000万円」を“抜け道相続”していた

  4. 9

    「世界大学ランキング日本版」5回連続首位・東北大学の海外留学生重視と一般入試を止める日

  5. 10

    「すき家」はネズミ混入ショックで一時閉店も…“牛丼離れ”できない庶民生活のリアル

もっと見る

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    フジテレビ問題「有力な番組出演者」の石橋貴明が実名報道されて「U氏」は伏せたままの不条理

  2. 2

    今思えばゾッとする。僕は下調べせずPL学園に入学し、激しく後悔…寮生活は想像を絶した

  3. 3

    元フジ中野美奈子アナがテレビ出演で話題…"中居熱愛"イメージ払拭と政界進出の可能性

  4. 4

    中居正広氏は元フジテレビ女性アナへの“性暴力”で引退…元TOKIO山口達也氏「何もしないなら帰れ」との違い

  5. 5

    芸能界を去った中居正広氏と同じく白髪姿の小沢一敬…女性タレントが明かした近況

  1. 6

    中居正広氏と結託していた「B氏」の生態…チョコプラ松尾駿がものまねしていたコント動画が物議

  2. 7

    中居正広氏、石橋貴明に続く“セクハラ常習者”は戦々恐々 フジテレビ問題が日本版#MeToo運動へ

  3. 8

    中居正広氏が女子アナを狙い撃ちしたコンプレックスの深淵…ハイスペでなければ満たされない歪んだ欲望

  4. 9

    中居正広「華麗なる女性遍歴」とその裏にあるTV局との蜜月…ネットには「ジャニーさんの亡霊」の声も

  5. 10

    SixTONES松村北斗 周回遅れデビューで花開いた「元崖っぷちアイドルの可能性」