著者のコラム一覧
久坂部羊小説家・医師

1955年大阪府生まれ。大阪大学医学部卒。小説家・医師。外科医、麻酔科医を経て外務省の在外公館の医務官として海外勤務。48歳で小説「廃用身」で作家デビュー。「無痛」「破壊」「神の手」はドラマ化されている。近著に「人はどう老いるのか」(講談社現代新書)がある。

70歳を超えた吉田拓郎は心情吐露も…「老いるといいことがない」は本当か?

公開日: 更新日:

 70歳を超えた吉田拓郎がある番組で「老いるといいことがない」というニュアンスの言葉を吐露した。体力が衰えてくるため、ライブもしんどいと率直に語っていた姿が印象的だった。

 吉田拓郎に限らず、老いることにマイナスを感じる人が多いのではないか。だが、人間は老いを避けて生きることができない。それなら、できるだけ楽に老後を迎えるのが得策だ。では、どうしたらいいのだろう。

人はどう老いるのか」(講談社現代新書)の著者でドクターの久坂部羊氏は、40代で高齢者医療に携わりさまざまな老いのパターンを見てきた。

「当時勤務したデイケアサービスを併設した高齢者医療クリニックには、毎日40人ぐらいの老人がやってきて、意外にも老いると当然なことに嘆き、悩んでいる人が多かったのです」

 腰が痛い、膝が痛い、さっさと歩けない、細かい字が読めないなど老人なら誰でも生じることなのに「なんでこうなったんだ」と受け入れられない。つまり老いという状況に慣れていないのだ。

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