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久坂部羊小説家・医師

1955年大阪府生まれ。大阪大学医学部卒。小説家・医師。外科医、麻酔科医を経て外務省の在外公館の医務官として海外勤務。48歳で小説「廃用身」で作家デビュー。「無痛」「破壊」「神の手」はドラマ化されている。近著に「人はどう老いるのか」(講談社現代新書)がある。

70歳を超えた吉田拓郎は心情吐露も…「老いるといいことがない」は本当か?

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「心の準備が足りなかったのでしょう。老いというのはさまざまなものを失っていくことです。体力、見た目、能力、社会的な地位、人によっては家族を失う。老いをイメージすることで、失うことは普通と受け入れられる。それができないと苦しむことになります」

 ある男性患者は、腰痛のせいでほとんど動けなかったのにもかかわらず、「年のせいだからどうしようもおませんな」と言って治療法に耳を傾けず、それどころかにやりと笑って「これが治せたら先生はよっぽどの名医ですわ」とちゃかした。

 84歳のある女性脳梗塞で左半身不随となり、懸命な歩行訓練のリハビリでかなり状況が改善したにもかかわらず、そのことを不服としていた。右半身は自由で言語障害もないため、残っている機能を使うともっと楽しく過ごせるのに、真面目な性格のためか、マヒした左半身を回復させることで心がいっぱいになって人生を楽しむことから遠くなったのだ。 =つづく

(構成/夏目かをる)

【連載】久坂部羊 楽な老い方

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