【山根屋】(大阪・中崎町)生パスタを追求 自家製スモークベーコンのカルボナーラが人気
イタリアンやビストロだと緊張する人も、洋食店だと気が楽だろう。そんな店に並ぶスパゲティやオムライスなどは、どこか懐かしい味わいで、見れば途端に食欲スイッチがオンになる。その一皿がテーブルに出されたら、腹が動きだし、胃袋が喜ぶ。さあ、洋食店で腹を満たそう。スパゲティ3店とライス系3店だ。
200万円を投じて購入した製麺機は、わずか半年後に回収されてしまった。ローンの返済が滞ったからだ。月末にガンガン鳴る電話は取引業者以外に考えられず、恐怖にさいなまれた。6人の従業員にはまともに給料を支払えない日々。しかし、生パスタの存在を確立すれば必ず道は開ける確信があった。
「たとえばお米。どんなおかずでも毎日パクパク食べられるでしょ。生パスタもそうじゃないのかと。日常の中に当たり前のように存在する身近なもの。最初の5年間は赤字続きだったけど、お客さんは必ず受け入れてくれると思ってました」
山根佑次オーナーは、バーテンダーから転身した24歳の頃の苦難をそう振り返った。
16年後の現在、信念は見事に花開く。週末のランチ時には1時間待ちの大行列ができ、系列店舗も増えた。生パスタは乾麺に比べて水分量が多く、独特のモチモチ食感でソースに絡みやすい。大黒柱の役目は数千万円をかけて店内に導入した数種類の製麺機。デュラム小麦を粗びきし、独特の食感を生み出そうと独自のブレンド法を採用している。