女性外来設立のパイオニアは今も現役「体力、筋力、健康維持には一に運動、二に運動です」
天野恵子さん(81歳/内科医)
81歳で現役内科医の天野惠子さん。今から20年以上前に、日本で初めての女性外来設立に貢献したパイオニア的存在だ。専門は循環器内科。東京大学講師、東京水産大学(現・東京海洋大学)教授を経て、2002年千葉県立東金病院副院長兼千葉県衛生研究所所長。09年から静風荘病院で女性外来を開始。同院特別顧問、日本性差医学・医療学会理事、NPO法人性差医療情報ネットワーク理事長。性差医学に着眼するようになったのは40歳の頃だった。
■筋膜リリースや加圧トレなど1回90分の運動
「同じ病気であっても、女性と男性との間には、症状、治療方法などにおいて大きな違いが生じるケースが多々あり、『性差医療』の重要性を感じました」と、現在も性差医療の浸透を推進している。
著書「81歳、現役女医の転ばぬ先の知恵」(世界文化社)では、自身も悩んだ更年期障害や女性外来設立に至るまでの道のり、そして健康法として、運動、食事、冷え対策、生きがい(仕事)、癒やしを挙げている。
「体力、筋力、健康維持のためには一に運動、二に運動です。体を動かすことは脳の血流を促し、骨や筋肉を維持して関節の動きを潤滑にして、心地よい睡眠をもたらします。私は週2回のパーソナルトレーニングを継続していますね」
筋膜リリース(体の硬い部分をほぐす)や加圧トレーニングなどを盛り込んだマンツーマンのトレーニングは1回90分。トレーニング前に体の張りやゆがみ、骨格バランスを整えている。
「食事はタンパク質と野菜たっぷりの自炊が基本で、バランスよく食べています。75歳から始めた毎日の野菜スープ生活は、糖尿や高血圧の予防になります」
その野菜スープの作り方は、水を入れた鍋に野菜(キャベツや玉ネギ、ニンジン、カボチャなどを食べやすく刻み、小松菜やゴボウなども適宜、組み合わせる)を入れ、弱火でことこと30分煮込むだけで、味付けは一切なし。
75歳の時に、上の血圧が140だったのが、野菜スープ生活のおかげで3カ月で120に低下した。
■全身の血液環境をよくする「和温療法」
「普段から体を冷やさない生活習慣を維持することも大事です。積極的に取り入れているのが和温療法。乾式サウナで15分全身を温めたあとに、サウナ器で温めたふとんにくるまって、30分間安静にします。血流アップや血管機能改善効果が期待できますよ」
また、生きがいを持つことは免疫力アップにつながり、病気予防になる。週2回担当する病院の女性外来では患者の話を熱心に聞き、患者寄りの医師として人気が高い。担当した患者から届くたくさんのメッセージがモチベーションになっているという。