赤ちゃん本舗 味志謙司社長(1)イトーヨーカ堂から出向してきた“小売りのエキスパート”
■イトーヨーカ堂で家庭用品売り場に配属される
大学時代はコーチに携わる一方、家電量販店でのアルバイトに明け暮れていた味志氏。ここでの経験が、小売店を目指すきっかけになったと話す。
「家電量販店で、物売りの面白さに引き込まれました。私が提案したものが受け入れられ、それを買っていただけるという面白さです。そこで小売業に就職したいという気持ちが出てきたんです。GMS(総合スーパー)を志望していたのですが、いろいろある中で、最初に内定を出してくれたのがイトーヨーカ堂でした。最初は4年半家庭用品の売り場に配属され、その後、本部に異動の辞令が出て、経営企画の部署に配属されました」
配属されて3年がたった頃、同世代の社員とともに、外から会社を見て、会社の改善を試みる“GAIYAミーティング”というものをはじめたと話す味志氏。
「その後の飲み会が楽しみだったのもあり、隔週くらいでやっていましたね。当時はバブルも崩壊して、ちょうど、Windows98が出た直後くらいの時期でしたね。イトーヨーカ堂も成長が止まって、下り坂だったんです。これからどうなるんだろうとか、お店はなくなり通販になっていくのかみたいな議論をしていました。そのことが原体験になり、赤ちゃん本舗に来て、みんなで価値観を共有し、未来を想像するといった、根本的な企業精神の糧になっているところはあります」 (つづく)
(ジャーナリスト・中西美穂)