自民・甘利前幹事長に「裏金1億円」ネコババ疑惑…落選危機だった自身の選挙に“流用”か
金額も支出の時期の怪しさも突出
日刊ゲンダイも当時の政活費の支出状況を確認すると、興味深い事実が判明した。衆院の解散から公示日の間は党幹部11人に計3億6500万円が支出されたが、公示日が過ぎてからはただ一人、甘利氏のみ。公示翌日の10月20日と選挙終盤の同25日に5000万円ずつ、計1億円を受け取っていた。自民党関係者は「党幹部が公認候補の陣営に現金を配る『陣中見舞い』の原資は政活費。選挙応援に入った際、必ず金一封を手渡すのが慣例です」と語る。選挙終盤に地元に引きこもっていた甘利氏には、この自民の因習を守ることは不可能だったろう。
また、直近の国政選挙における政活費の支出状況も調べたが、19年参院選は二階幹事長(当時)が公示直後に2回、計6500万円を、22年参院選は茂木幹事長が公示翌日に5000万円をそれぞれ受領。甘利氏のケースは金額も支出時期の怪しさも抜きん出ている。落選危機を脱するため、党の「裏金」をネコババした疑いは深まるばかりだ。
「衆院選の経費を記す甘利氏の『選挙運動費用収支報告書』の出入記録に、この記載がなければ、選挙買収など公選法違反に該当するような使い道を疑わざるを得ません。否定するなら、政活費の使途を全面公開すればいいのです」(神戸学院大教授・上脇博之氏)
ネコババ疑惑について甘利事務所に質問状を送付したが、期限までに回答を得られなかった。
さらに中国新聞は14日、甘利氏が党選対委員長を務めていた19年の参院選で、8060万円の政活費を原資に全国の公認候補へ陣中見舞いとして「裏金」を配り回っていた疑いを報道。個人が年間に政治家や政治団体などに寄付できる上限額(3000万円)を定めた政治資金規正法に抵触する恐れがあり、違法性が認められれば公民権停止の憂き目が待っている。
未来を見通せる甘利氏の目には、将来の自分のどんな姿が映っているのか。