無名の染み抜き剤が70万本ヒット!なぜ宣伝費ゼロの広報戦略でも知名度アップできたのか
下町の洗濯屋の成功の原動力は「好奇心」と「誰もやっていないこと」
浅川さんは、この新しい取り組みにも地元の力を活用しようとしている。
「大田区のベンチャーフレンドリーというところと連携して、新型洗濯機の製造を町工場主体でやっていこうと思っています。地元の人たちとどこまでできるか、今から楽しみです」
最後に、もうけびとをめざす人へのアドバイスを聞いた。
「こうしたらどうだろうという好奇心がすべての原動力です。常識にとらわれず、新しいアイデアを追求する。そして、お客さまの声に真摯に耳を傾ける。その姿勢さえあれば、どんな業界でも道は開けると信じています」
クリーニング店の3代目から、革新的な洗剤メーカーの社長へ。浅川さんの挑戦は、斜陽産業と呼ばれる分野でも、アイデア次第で大きな成功を掴めることを証明した。その姿は、多くの中小企業経営者に希望を与えるに違いない。
(聞き手=いからしひろき)
▽浅川ふみ(あさかわ・ふみ) 1976年生まれ。68年に東京・大井町で創業した「日米クリーニング」の3代目。顧客の声を直接聞く中で、独自の染み抜き剤の開発に着手。2008年に「スポッとる」を発売し、累計70万本以上を売り上げる。現在は販売会社の代表取締役社長として、環境に配慮した洗剤の開発にも取り組む。