「ほぼトラ」後の円相場はどうなる? 銃撃事件で米大統領選「勝利」の可能性高まる
トランプ前米大統領銃撃の衝撃は庶民を苦しめる円安相場にどのような影響を及ぼすのか。政府・日銀がちょうど円買い・ドル売り介入に踏み切ったとみられるタイミングだ。「もしトランプが再び大統領になったら」の「もしトラ」ならぬ「ほぼトラ」(ほぼトランプ勝利)の公算が大きくなるほど、「円高・ドル安」に傾くとの見方もあるが、コトはそう単純に収まりそうもない。
11~12日と2日続けて、円相場は対ドルで急伸。一時4円ほど円高・ドル安が進んだ。米国の6月の消費者物価指数が市場予想を下回り、早期利下げ観測が強まった機を捉え、政府・日銀が介入に踏み切ったもようだ。その規模は11日だけで3兆~4兆円ともいわれている。
為替介入の原資は「外貨準備高の1割」が定説で、ザッと20兆円程度。すでにGWには総額9.7兆円の介入を実施しており、投機筋に「原資が底を尽きた」と見透かされれば一足飛びに円安が加速しかねない。案の定、介入効果は一瞬で円相場は2円近く値を戻しているだけに、不気味だ。
「次に問われるのは植田日銀の対応ですが、円安を享受する産業界の意向をくみ、円安退治の動きは鈍い。今月末の金融政策決定会合でも基本方針通り、国債購入減額の具体的な幅を決めるのが関の山。現行の月6兆円規模を月4.5兆円くらいに減らす程度でしょう。利上げはもちろん、600兆円近くまで膨らんだ保有国債残高の圧縮など打てる手は山ほどあるのに、手元のカードの温存にご執心なのです」(経済評論家・斎藤満氏)