田中金脈vsメザシの土光…自民党の金集めで頼りになった経団連に命運を握られることに
だが選挙は負けた。改選議席130のうち自民は62で、過半数を割り込んだ。
■「国民は政界と財界は同じ穴のムジナだと言っている」
翌8月、自民は「泣きっ面にハチ」となる。経団連が、会員企業に献金額を割り振る「斡旋」をやめる方針を決めたのだ。土光敏夫会長が、田中に申し入れた。
土光は当時、東芝の会長。その後は鈴木善幸政権のもと「増税なき財政再建」に取り組み、「行革の鬼」と言われた。自身も「おかずはメザシだけ」というエピソードが残るほどの倹約家だった。
土光会長は献金の斡旋取りやめについて、記者会見で言った。
「今は経団連にとって、政界と財界が癒着しているという国民の誤解を解くことが急務だ。国民は政界と財界は同じ穴のムジナだと言っている」
「経団連としては、あくまで李下に冠を正さずだよ」
政治権力の源泉が金だと信じている以上、自民は金を持っている経団連に主導権をとられる。以降も、経団連に命運を握られることになる。(敬称略、つづく)