田中角栄が退陣、首相に就いた三木武夫が「企業献金禁止」を提唱するもトーンダウン
「政治全体の信頼回復のために、今日の選挙のあり方、政治資金のあり方にもメスを入れようではありませんか」
しかし、三木はトーンダウンしていく。75年の政治資金規正法改正で企業献金は禁止されなかった。企業の規模に応じた献金限度額が設けられただけだった。
■「おカネをもうけるなら商人になれ」
76年、「ロッキード事件」が発覚する。ロッキード社からの航空機の売り込みをめぐり、田中が5億円の賄賂を受け取ったことなどが裁かれた。三木は真相究明を掲げたが、党内から反発されて退陣を迫られる。「三木おろし」だ。結局、この年の選挙で自民が大敗したことを機に、三木は首相の座から降りた。
妻の三木睦子の著書「信なくば立たず」(講談社)によると、三木武夫は生前、よく言っていたという。
「政治家はおカネもうけするものではない。おカネをもうけるなら商人になれ」(敬称略、つづく)