1ドル=160円台の“悪夢”再来か…植田日銀「利上げは情勢次第」発言でズルズル円安に
輸入インフレが再燃しそうだ。日銀の植田総裁は18日、名古屋市内の講演で、今後の利上げのタイミングについて「先行きの経済・物価・金融情勢次第だ」と発言。「毎回の金融政策決定会合で経済・物価の現状評価や見通しをアップデートしながら、政策判断を行っていく」と強調した。
米国のトランプ前大統領が返り咲いたことで、円相場は先週末、一時156円台にまで下落。加藤財務相が「行き過ぎた動きには適切な対応を取る」と牽制していただけに、今年7月に続いて12月に追加利上げに踏み込むのかどうか、市場関係者は植田氏の講演に固唾をのんだ。
ところが、フタを開けてみれば何のことはない。タカ派的な発言はなく、「様子見」の姿勢は従来通り。
1ドル=153円台で取引されていた円相場は、植田発言を受けて早期利上げの見方が後退し、一時1ドル=155円台前半まで下がった。
今年4月29日に一時160円台と34年ぶりの円安水準をつけ、政府・日銀が為替介入したのは記憶に新しい。再び160円台の大台に乗ってしまうのか。円安基調に歯止めはかからないのか。経済評論家の斎藤満氏がこう言う。